白金コラム
2025年7月7日(月)更新
上海プラチナウィークで更なる宝飾需要が示されるか
田栗満 (岡地アナリスト、日経CNBC出演、週刊エコノミスト寄稿)
国内白金 週足

5月に英国・ロンドンでプラチナウィークが開催され、JM社やWPIC、メタルズフォーカスなどプラチナ需給報告を行っている。今週は2ヶ月に一度の中国・上海市でプラチナウィークが開催される予定である。
開催に先駆けてWPICは週末のレポートで、プラチナ価格は最近10年ぶりの高値を記録し、6月26日時点で1オンス=1420ドルを超えたが、最近のプラチナ価格の上昇が需要を鈍化させたり、追加の供給を刺激したりする可能性は低く、予測される市場不足は今後も続く見込みだと指摘している。
ただ貴金属評価サービスを提供するヘラエウスは、最新の貴金属評価報告書において、現在1オンスあたり1400ドルで推移している事で、南アフリカのプラチナ鉱山におけるコスト計算されるPGMバスケット価格は、ドル建てで年初比30%以上上昇しており、圧迫されてきた利益率の圧力が緩和されている。
また中国でのジュエリー製造の回復が、プラチナ生産国からの中国への強い輸入を誘引しているが、ジュエリー販売が予想以上に増加しているかどうかを示す追加の証拠が必要であり、プラチナ価格は今年後半に調整される可能性が高いと同社は結論付けている。
その意味合いで、今週から開催される上海プラチナウィークで中国の宝飾需要や現物投資が何処まで伸びを示しているのかの確認が示される様であれば、大阪取引所の白金標準先物は、6月の高値である6319円を試す可能性は高まると思われる。
ただ週足チャートでは、4601円の下げ止まりから6月の高値である6319円まで1718円の上昇を4週間で行っており、短時間の上昇に対する調整の値動きが起こってもおかしくない事から、9日の相互関税に伴う関税リスクが意識される様であれば、4月2日の相互関税の発表時に610円の下落を見せている事からも5793円、5553円、5238円の下値を試すか注意が必要に思われる。