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NY市場に現物が移動しロンドン市場から現物が枯渇している(白金コラム)

白金コラム

2025年7月22日(火)更新

NY市場に現物が移動しロンドン市場から現物が枯渇している

田栗満 (岡地アナリスト、日経CNBC出演、週刊エコノミスト寄稿)

国内白金 週足

NYマーカンタイル取引所の指定倉庫の在庫量が17日に2.8トン増加し、11.4トンとなっている。またロンドン市場のリースレートは、21日に1ヶ月物で40%を超えるなど、NY市場に現物が移動しロンドン市場から現物が枯渇している動きを見せている。

特にトランプ大統領は、8月1日から銅に対する輸入関税50%を課すと発表し、トランプ政権は更に木材、半導体、重要鉱物、医薬品の順に関税に関する発表を行う方向で協議している事から、重要鉱物にプラチナや銀が対象になるのか思惑が高い動きを見せている。

そのためNY市場では、期近10月限で2014年7月以来の1500ドルを付けるなど、供給不足を受けて高値追いを続ける値動きを見せている。

白金標準先物は、期近8月限は6720円まで高値を試すなど、ロンドン市場やNY市場を反映した値動きを見せているが、期先6月限は週末に6133円まで下値を模索するなど、期近に追随した値動きを示していない。

しかし7日~10日まで中国上海で開催されたプラチナウィークでは、WPICがプラチナ価格の上昇が需要を鈍化させたり、追加の供給を刺激したりする可能性は低く、予測される市場不足は今後も続く見込みだと指摘し、2029年までの2~5年予測によると、毎年不足が発生するなど連続する供給不足により、2029年までに地上在庫が枯渇すると予想されていると伝えている。

そのため長期に渡り供給不足は続くことから、目先の関税に伴う思惑の動きで価格が上昇しているもの、NY白金が1400ドルを一時的に下回ったとしても1300ドルを下回る確率は非常に低いと思われ、供給不足の相場は年末に向けて続く可能性は高いと思われる。

その事から、白金標準先物も5600円を下回る値動きは難しく思え、関税リスクが一時的に落ち着き、下値を模索する展開が起こっても5600円以下は買い戻しの値動きに備えるのが妥当に思われる。