白金コラム
2025年8月4日(月)更新
価格と在庫の相関関係を受け再度5686円割れへ
田栗満 (岡地アナリスト、日経CNBC出演、週刊エコノミスト寄稿)
国内白金 週足

トランプ大統領は、8月1日の銅に対する関税50%の内容が、輸入される銅線や銅管など一定の加工工程を終えた銅の半製品や銅を多く含むケーブルや電気部品などの製品などに関税を課すとする文書に署名している。そのため原材料となる銅の鉱石やスクラップなどは対象から外れた事から、発表を機にNY市場で銅価格は18%の下落を行っている。
銅に50%の関税が課すと発表されてから、NY市場ではプラチナ価格が1500ドルまで高値を試すなど、プラチナやシルバーにも関税が課せられる思惑から大幅な上昇を見せていた。
特に関税の思惑を強めた取引でロンドン市場からNY市場へプラチナ現物が移動し、NYマーカンタイル取引所のプラチナ指定倉庫の在庫量が7月16日の8.59トンから31日には16.8トンまで増加を示している。
そのためロンドン市場のプラチナ・リースレート1ヶ月物は一時40%を付けるなどロンドン市場から現物が枯渇した状態を見せている。
しかし30日にトランプ大統領が銅に対する関税に署名した内容を受け、NY市場の銅価格は18%の下落を行い、思惑が強かったNY白金も7%の下落を見せている。
そのため一時1500ドルを付けたNY白金は週末には1271.1ドルまで下値を試すなど、急速な修正を行っている。特に白金標準先物も6319円を試すも高値が抑えられながら、銅の関税の発表を機に5686円まで下落している。
ただ週末に発表された雇用統計のサプライズの内容を受け、9月の利下げ確率が90%まで上昇するなど、5864円まで戻している。しかし関税の思惑が外れたNYマーカンタイル取引所のプラチナ指定倉庫の在庫量は減少する可能性は高く、価格と在庫の相関関係が存在する動きに週末の安値5686円を再度下回る可能性は高くなると思われる。