白金コラム
2025年5月27日(月)更新
調整後の5000円を狙う白金標準先物
田栗満 (岡地アナリスト、日経CNBC出演、週刊エコノミスト寄稿)
ジョンソンマッセイ社は、14日にPGMマーケットレポートで2025年のプラチナ需給予想を23トンの供給不足と予想し、3年連続の供給不足を指摘している。
またWPICは19日に2025年第1四半期PGM需給報告を発表し、3月の報告で2025年は26トンの供給不足を指摘していたが、今回のレポートでは30トンの供給不足を指摘し、南アフリカの供給量が減少している事を挙げている。
特に地上在庫は、前回の117トンから67トンへ減少し、需要の3ヶ月分となっている。
またメタルズフォーカスは、2025年のプラチナ需給報告で16.3トンの供給不足を指摘し、JM社やWPICと同様に3年連続の供給不足を指摘している。
特に白金標準先物は、一時4716円まで戻りを強めていたが、相互関税やドル資産の信用損失を受けた不確実性の高い市場から逃避の動きが強まり、4071円まで反落したが、ベッセント財務長官の説得で相互関税が90日間の延期を発表し、中国に対する145%の関税も90日間の115%の関税引き下げで合意するなど、関税リスクが後退している。
そこへJM社、WPIC、メタルズフォーカスの需給報告でプラチナは3年連続の供給不足の指摘を受け、NY白金が1000ドルを超える値動きを見せると、白金標準先物は目先の高値4546円を上回り4780円まで戻りを見せている。
中国のプラチナ輸入量

また中国税関データーでは、2024年にプラチナは86.1トン輸入され、2025年4月は10トンの輸入を示し、今年4ヶ月で21.9トンの輸入が行われている。
特に中国の国内法では希少性が高い鉱物は第3国への輸出が禁止されており、一度輸入したプラチナは輸出できない状況でもある。
そのため白金標準先物は、関税リスクで4716円から下落した経過があるが、トランプ大統領の相互関税の停止が7月9日まで、対中国の90日間は8月12日まで延長されるなど関税リスクは後退しており、需給報告を受けた白金標準先物は5000円へ向けた戻りを強めて来ると思われる。