HOMEマーケット供給不足の状況は変わらずも、レンジ内での値動きとなるだろう(白金コラム)

供給不足の状況は変わらずも、レンジ内での値動きとなるだろう(白金コラム)

白金コラム

2025年8月18日(月)更新

供給不足の状況は変わらずも、レンジ内での値動きとなるだろう

田栗満 (岡地アナリスト、日経CNBC出演、週刊エコノミスト寄稿)

国内白金 週足

トランプ大統領が銅に関税50%を課すと発言した7月9日のNY白金は、1385ドルから21日にはロンドン市場の1ヶ月物リースレートが40%を超え、NY白金は1511.4ドルまで上昇している。しかし31日にトランプ政権が銅輸入品に対する新たな関税を定めた布告では、全ての半製品に対して一律50%の関税を課す一方、精錬銅への適用は見送った事から、ロンドン市場のプラチナ・リースレートは10%以下まで低下し、NY白金は1271.1ドルまで急落している。

しかしNYマーカンタイル取引所のプラチナ指定倉庫の在庫は7月21日の13.2トンから8月14日で18.1トンまで増加している。ETF残高でも31.2トンから18.1トンまで増加している。特にロンドン市場のプラチナ・リースレートは18日現在14.7%で推移しており、銅の関税要因の思惑の動きは後退するも、依然とプラチナ市場は供給不足を物語っている状況に変化はない。

またスイスの輸入関税39%を課す動きでも米国税関・国境警備局(CBP)の書簡で1 キログラムおよび 100 オンスの金地金は、ドナルド・トランプ大統領が制定した相互関税の対象であり、業界が当初理解していたように免除の対象ではないこと示すも、ホワイトハウスやトランプ大統領が否定し、金価格が落ち着くも、正式な大統領令が発しられていない事から、市場は慎重な見方を行っている事から、正式に修正した大統領令の発動まで市場は動き辛い状況に思われる。

特に銅や金の関税問題が思惑要因であったが、依然とプラチナ・リースレートは14%の高止まりを示し、NYマーカンタイル取引所のプラチナ指定倉庫の在庫は増加したままである事など、今後の価格が上昇を示す確率に掛けた市場の動きに思われる。

そのため一時NY白金に連動し、8月4日には5686円まで下値を模索した白金標準先物であるが、リースレートの高止まりやトランプ大統領とプーチン大統領の協議で欧州市場に地政学的なリスクが後退する期待感もあり、欧州通貨であるユーロが対ドルで買われるなどリスク緩和を好感し、再度6011円まで高値を試すも、市場の要因が一巡した状況でもあり、今しばらくは5800円~6000円のレンジ取引が続くと思われる。