白金コラム
2025年9月29日(月)更新
2008年の高値を更新した白金標準先物・・
田栗満 (岡地アナリスト、日経CNBC出演、週刊エコノミスト寄稿)
国内白金 週足

3年連続の供給不足の予想でも金価格に対して出遅れ感が強かった白金標準先物は、期先ベースで2008年に南アフリカの電力喪失に伴い、NY白金が2308.8ドルまで上昇し、円建て価格が7427円まで高値を試しているが、その価格を今週上回ると7469円まで高値を試している。
特にWPIC第2四半期PGM需給報告では第1四半期に比べ供給不足予想は4トン減少した26トンと発表し、地上在庫も第1四半期に比べ26トン増加した93トンで4ヶ月半分の需要に相当すると修正しており、供給不足は改善されたが、依然と3年連続の供給不足予想である。
しかしベルテラ(旧アングロ・アメリカ・プラチナ)社のCEOは、NY白金が1400ドルを超えている状況下で「新規グリーンフィールド生産が稼働し約10%のリターンを得るインセンティブを得るには、PGMバスケット価格が現状からさらに50%上昇し、その水準を維持する必要がある」と述べるなど、2000ドルを視野にした言い回しに思われる。
特にWPICのレポートでは中国における投資環境が大きく変化した事が挙げられ、金価格の大幅上昇で金投資が後退し、それを白金投資が補う動きを見せ、中国の投資需要総量は前年比2%増の22.2トンに拡大すると予測され、また中国における地金・コイン需要の伸びが他地域の弱さを相殺し、地金・コイン需要総量は前年比45%増の8.7トンに達する見込みである。一方、中国における500g以上の地金需要は前年比15%増の5.7トンに達する見込みである。
そのため白金標準先物は、一時的に史上最高値である期近7584円、期先7427円を上回る動きを示し、高値警戒感が示す利食いの動きを見せる可能性は高まるも、今後トランプ大統領が示す重要鉱物に対する関税の動きもあり、2022年にプラチナとパラジウムは重要鉱物の指定を受けており、関税目当てのNYマーカンタイル取引所のプラチナ指定倉庫の増加は続いており、ロンドン市場の1ヶ月物リースレートも12.8%で維持するなど、依然と市場における供給不足は改善していない。
そのため価格の修正が行われても再度高値を試す可能性は否めない事から2025年末に向けて更なる高値を試す値動きは続くと思われる。







































