白金コラム
2025年10月14日(火)更新
WPIC・JM社・メタルズフォーカスなど需給予想を行う3社が3年連続の供給不足を予想
田栗満 (岡地アナリスト、日経CNBC出演、週刊エコノミスト寄稿)
国内白金 週足

NY市場の白金価格は、2013年2月に付けた高値1744.5ドルに続く1725.7ドルまで高値を試している。特に金価格に出遅れ感が強かった白金価格は、WPICやJM社、メタルズフォーカスなど需給予想を行う3社が揃って3年連続の供給不足を予想し、1400ドルを超えると1725.7ドルまで高値を試している。
特に2022年にPGMのプラチナやパラジウムは重要鉱物の指定を受け、トランプ大統領は半導体、医薬品、重要鉱物に対する関税を示唆し、半導体、医薬品には100%の関税を課し、10月中旬以降には重要鉱物に対する関税が課せられる可能性が高くなっている。
それに伴い、ロンドン市場からNY市場へ品物の動きが続き、ロンドン市場の1ヶ月物リースレートは12%の高い水準を維持し、NYマーカンタイル取引所のプラチナ指定倉庫の在庫量も10月10日現在で21.2トンまで増加しており、プラチナETF残高も56.69トンで推移するなど、ETF市場からの資金の流失はストップしている。
しかしトランプ大統領は、中国が半導体に欠かせない原料であるレアアースの輸出審査の強化を理由に希少性の高い鉱物の輸出をストップさせている事から、11月1日以降の対中国の輸入関税を30%から130%へ引き上げる発表し、また「あらゆる重要ソフトウェア」を対象に11月1日から輸出規制を導入すると発表するなど、米中の貿易戦争の拡大懸念が高まりを見せている。
特に半導体のサプライチェーンの混乱を招く恐れが強く、2022年~2023年に掛けて半導体不足に伴い新車生産台数が減少し、中古車価格が高騰したケースが存在しており、NY白金は1000ドルから800ドルまで下落している。
そのため今回の米中関税リスクの高まりは、10月31日~11月1日に韓国・慶州で開催されるAPECでトランプ大統領が中国・習近平主席と首脳会談を行うまでリスクは存在するし、重要鉱物に対する関税と合わせて今後のプラチナ価格を占う上で重要になると思える。
特に円建て価格は、高市トレードの巻き戻しで20日以降に衆議院の首相指名選挙で首相が確定するまで円高基調が続くと思え、当面高値である7958円を上回る確率は低くなったと思える。