白金コラム
2025年10月27日(月)更新
年末に向けて、需要の後押しもあり強気相場の継続
田栗満 (岡地アナリスト、日経CNBC出演、週刊エコノミスト寄稿)
国内白金 週足

NY金は2013年以来の最大の下げ幅である8.6%を行い、中心限月12月限で一時4021.2ドルまで下値を試している。特に米中貿易交渉ではレアアースの輸出規制強化を受け、トランプ大統領は10月31日から2日間韓国で開催されるAPECで中国習近平主席と首脳会談を否定し、11月1日から対中国の関税を30%から130%へ引き上げると発表している。
しかしホワイトハウスは、10月31日に米中首脳会議を行うと発表し、またマレーシアでベッセント財務長官と中国の何副主席と事前協議を行い、首脳会談に向けて事前協議を実施するなど、関税引き上げを回避する動きを見せている。
そのため中東における地政学的なリスクの低下、米中貿易戦争の回避など金市場を取り巻く環境が変化している。
特に白金価格も金価格に比べ出遅れ感が強く、5月のWPIC第1四半期PGM需給報告までは、900ドル~1100ドル付近で往来相場を見せていたが、1100ドルを超えると1500ドルまで上昇し、1300ドル付近で下げ渋ると9月にWPICやJM社が3年連続の供給不足を予想し、中国で割高な金から割安な白金へ宝飾需要が移行するなど一挙に1500ドルを超える動きを見せている。
またトランプ大統領が銅に対する関税を課した事から、2022年に重要鉱物の指定を受けているプラチナとパラジウムは関税要因からロンドン市場からNY市場へ関税を狙った現物の移動を受け、ロンドン市場のリースレート1ヶ月物は10%を超える品不足を示し続けている。
特に17日に中国商務省はプラチナに対して11月1日から13%の付加価値税を課すと発表すると、ロコ・チューリッヒのプラチナ価格は中国上海黄金交易所のプラチナ価格をドル建てで一時160ドル上回るなど、欧州市場の品不足が顕著に表れており、需要要因から見ても強気相場が終わった可能性は低いと思える。
そのためNY市場で1500ドル、白金標準先物でも7000円を下回る可能性は低いと思え、過去最高値である8250円を再び上回る可能性は秘めていると思え、弱気の対応は避けた方が良いと思える。







































