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2026年6月15日(月)更新

上海プラチナウィークは、プラチナ価格の起爆剤になるか・・

田栗満 (岡地アナリスト、日経CNBC出演、週刊エコノミスト寄稿)

国内白金 週足

2月28日に米国とイスラエルがイランへの空爆を開始して始まったイラン戦争は、原油・石油製品の1日平均約2,000万バレル規模である、世界の海上石油貿易の約4分の1を占めるホルムズ海峡の事実上の閉鎖に追い込まれ、WTI原油先物価格は、イラン戦争前の2月26日に1バレル:65.21ドルが戦争を機に一時113.90ドルまで上昇し、以降90ドルを上回る水準で維持されている。

貴金属は、金価格が地政学的リスク、財政赤字、中央銀行による買い入れが長期的な上昇要因として引き続き支えているにもかかわらず、週末にはNY金は一時4,046.2ドルまで下落している。

特にホルムズ海峡の事実上の閉鎖が続き、エネルギー価格の上昇に伴い消費者物価指数(CPI)が前年比3月の3.3%から5月は4.2%となり、生産者物価指数(PPI)でも前年比3月の4.3%から5月は6.5%へ上昇するなど、企業が商品価格へコストの上乗せを示す動きを見せている。

しかし労働環境では雇用統計で5月の非農業部門就業者数が17.2万人増となるなど、ハマック・クリーブランド地区連銀総裁は「5月‌の雇用統計で米国の労働市場は完全雇用に近い状態にある」と述べている。特にFRBの任務は最大限の雇用と物価の安定を目指す金融政策の運営であり、目先はインフレに対峙する可能性が高く、利下げ確率がゼロに近く、金価格を押し上げていた利下げ観測が後退し、逆に「金利を生まない金」にとって悪材料である利上げ観測が高まりを見せている。

また金価格の下落は、白金価格を押し下げる要因に結び付き一時10,934円まで戻りを見せたが、中東情勢の悪化や金利高の悪影響を受けた金価格の下落で週末には昨年12月16日以来の8,177円まで下値を模索している。しかし5月にロンドンで開催されたプラチナウィークでは、JM社、WPIC、メタルズフォーカスの3社が2026年は供給不足を予測し、3年連続の供給不足を示唆している。

またAI業界の今後の躍進は注目されており、データーセンターの飛躍的な建設は今後増加傾向を続ける可能性は高く、データーセンターに欠かせない半導体のプリント基板(PCB)であり、AIサーバーやデータセンター機器はPCBなしでは機能せず、PCBに欠かせないプラチナガラスの需要は、2026年には前年比83%増の37万7,000オンス(11.6トン)に達すると予測されている。

また世界各国は、今回のホルムズ海峡の閉鎖に伴うエネルギー価格の上昇では、脱化石燃料の加速が進む可能性が高まりを見せだしており、クリーンエネルギーである水素に注目が集まると思える。特にトヨタ、現代など水素自動車の動きは加速し、また中国も第15次五ヵ年計画によると、中国政府は2030年末までに国内のグリーン水素産業を大幅に拡大することを目指しており、現在、本土の31省すべてが、それぞれ2026年から2030年までの五ヵ年計画において個別の水素戦略を公表している。

特に7月6日~10日に掛けて中国・蘇州で開催される「上海プラチナ・ウィーク2026」は、中国のプラチナ族金属(PGM)市場にとって第15次五ヵ年計画の極めて重要な時期に開催されるだけに、価格の戻りの起爆剤になる可能性は高まると思われる。

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