2025年6月9日(月)更新
4900円以下でロングポジションのエントリーを待つ
田栗満 (岡地アナリスト、日経CNBC出演、週刊エコノミスト寄稿)
白金週足チャート(2025年6月9日現在)

トランプ大統領は5月にスイス・ジュネーブで開催された米中通商協議でレアアースの輸出規制解の合意を中国が違反したと述べている。特にレアアースは現在の自動車に欠かせない素材であり、その生産過程で危険な化学品を使う事から環境破壊に結び付く可能性が高く、西側諸国では政治的に生産は困難でありレアアースの供給は中国が90%を占めている。
特に4月に中国がレアアースの輸出規制を強化した事から、ドイツのBMWやVWなど自動車生産に悪影響が出始めており、一部の自動車生産がストップする動きに結び付く可能性も高まっている。
ただ今回トランプ大統領と習近平主席との電話協議で米国に対するレアアースの輸出規制は一部解除され、サプライチェーンの混乱は緩和の動きを見せている。
特にトランプ大統領は、今週9日にロンドンで中国と通商協議を開催すると発言し、協議にはベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表が参加し、米国側は中国に対するハイテク規制の一部を見直す用意があることを示唆している可能性があると見られており、米中の輸出規制の緩和の動きが強まると予想される。
そのため白金標準先物は、一時トランプ大統領が鉄鋼やアルミニウムの25%の関税を50%へ6月4日から引き上げると発表し、関税リスクの再熱を受け4601円まで下値を試すも、需給バランスにおける供給不足がNY白金の1050ドル以下で下げ渋り、白金標準先物も4600円で下げ止まっている。
特に米中の通商協議の進展は、自動車産業におけるサプライチェーンの混乱を落ち着かせ、再度供給不足を再認識する値動きへ結び付いている。そのためテクニカルのレジスタンである4808円を上回った事から5157円まで反発を見せている。
その事は、今年に入りNY金が26%の上昇を見せていたが、出遅れ感の高いNY白金は6%程度で推移していた。しかし米中通商協議の進展を受け、29%の上昇を示すなど急速な出遅れ感の見直し相場を強めた値動きに結び付いている。
ただ先週の上昇幅が556円と短時間で大きく反発した事から、目先は修正の値動きを示す可能性は否めないため、飛び付き買いは避けながら修正波動が終わる4900円以下でロングポジションのエントリーを待つのが妥当に思える。
過去のアドバイザーコラム
過去のアドバイザーコラムについてはこちらをご確認ください。
2025年6月2日(月) | NY金取組高46万枚越えと国内金取組高減少となれば買い提案 |
---|---|
2025年5月27日(火) | 調整後の5000円を狙う白金標準先物 |
2025年5月19日(月) | NY金シグナル国内金取引量増減の確認が取れしだい買い提案 |
2025年5月12日(月) | 5月に発表されるJM社 PGMレポートの需給予測に注目 |
2025年4月30日(水) | 安値確認済みも慎重に行くなら5/7中国人民銀行金残高発表を待つ |
2025年4月18日(金) | 2025年5月に発表されるJM社のレポートでもWPIC同様供給不足が指摘されるか? |
アドバイス取引
経験豊富なアドバイザーと二人三脚のお取引
資料のご請求・口座開設について
投資アドバイザー
お近くの支店までお電話か資料請求フォームよりお問い合わせください。
